xの最終定理-まとめページ-





-0/Prologue-


-始まりの方程式-


質量保存の法則


-探求-


-理由-


-0の質量-


-回帰する闇-


-最後の証明文-


-相対性理論-


-巣立ち-


-x+y=2-













制作スタッフ

sinziroh suzuki
shiho i
ayu k

hiro J
m a







構成、制作

kira mizuki








提供




楓の幻灯

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-x+y=2-





今でも僕は、たまにノートを開く。

 別に何を考えるってわけでもない、ただ、それを忘れたくないだけだ。


大人になった今でも、その謎は解けない。
 解らない事は増える一方だ。




「祐希、会社遅れるぞ。」


    「・・悪い、すぐ出る。」


 でも、一つだけ解った事がある。




1=x

その1は不安定だ。


だから、1はxでしかない。


でも、2人いれば

 それぞれの足りない所を埋めあえる

そうして初めて、1であり、2になれるのだ。




人は、1人では生きては行けない。

 想い、想われてこそ

xは1になれるのだ。



難しい事なんて僕にはわからない。
 だけど

前を向いて歩いて行くって

 二人でそう誓ったから・・。










   これからも、二人で描いて行く方程式




「お弁当、ちゃんと持ったか?」

    「あぁ、ありがと、行ってくるよ。」



x+y=2





2人で導いた、最後の答え。 人気サイトランキングへ
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-巣立ち-




新学期が始まった。

 彼女は何事もなかったかのように、席についていた。



  何か吹っ切れたのか、こちらを向いて笑顔を見せたりもしていた。




始業式が終わり、僕はすぐに屋上に向かった。


 しかし、そこに彼女の姿はなかった。


・・ようやく、解放されたのだろう。


 自分である「意味」を見つけたんだろう。




ノートを開きかけた時、屋上の扉が開いた。


「・・やっぱりここだったか。」


「芦屋くん、昨日はありがとうな・・その・・。」


     「もう、吹っ切れたか?」

「あぁ・・。」

     「・・?」


「いや・・何でもないんだ・・。」

     「そっか。今日はさ、ちょっと渡したい物があるんだ。」


 僕は昨日、彼女が置いて行った二冊のノートを手渡した。

「これは・・」

     「それだって、君の大切な半生だろう?」



「・・あぁ、そうだね、でも これは君のだ。持っていてくれ。」


     「・・どうして、俺に渡すつもりだったんだ?」

「私には解らなかったからだ、何も・・ね。」

「だから、君に任せるつもりだった。」

     「しかし、白紙では遺書にもならない。警察に回収されて・・終わりだったろう?」

「・・警察なら、君よりしっかりとノートを調べるさ。」


 彼女はパラパラと、自分の書いた字を見ていた。

  最後のページを見た時、彼女の手が止まった。


「・・ふふ、まさか君も、同じ事をするなんてね。」

  僕は、自分の持っているノートの最後のページを開いた。




     「・・なんだ、俺が後出しになるのか・・。」


ずっと 一緒に居たい。




どうしてか なんて当人にしかわからない。

 その『1』が本当の『1』かどうかなんてわからないのだ。

皆、それぞれに違う人間なのだから。



1=x

それが、彼女が最後に出した答え。

最後にそっと書き加えた。


  『0に還るまで、これまでのマイナスを俺に埋めさせてほしい。』



2人で過ごす時間

 彼女のマイナスより 多くのプラスを与える

そんな時間にしたい・・。



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-相対性理論-





僕は彼女を捜し歩いた。



 もし彼女が『0』であると考えているなら、『死』を選ぶかもしれない。




『復讐』を考えるのならば、人目に付き、話題になりやすい場所・・。


   必ず、発見される場所・・。


そして、身元の判別が付きやすい死に方







   ・・屋上、それも、学校の。





0・・現実には存在しない数字。



不安に駆られるまま、僕は学校に向かって走った。

 もう陽は落ち、辺りは暗くなっていた。



門をよじ登り、校内に入った。
 幸い 午後9時までは警報は鳴らない。



屋上に出ると、少し涼しい夜風が頬に当たった。




「・・芦屋くんか、警備員かと思って、ヒヤヒヤしていた所だ。」

  彼女の手には、ノートのような物が握られていた。

     「・・このノートは、もういいのか?」

「・・あぁ、持ってきてくれたのか。」


  町からの灯りで、彼女のシルエットだけが貯水槽の横に映し出されていた。

彼女が座り込むのが見えた。



  近付いてみて、初めて気付いた。

 彼女は、フェンスの向こう側にいるのだ。

     「・・そのノートは、遺書か何かを書くつもりだったのか?」

「・・まぁ、そんな所だ。 でも、君に渡すつもりだった。」


  そう言って、彼女はノートを差し出した。





「死ぬ時になって、ようやくわかったんだよ。」



「1=x その証明が正しいって事。」


   泣きながらも、彼女は 自分のノートを手に取る。



「宿題、できたんだろう?」

      「・・あぁ。」




 0 矛盾を無くし、矛盾を生んだ数字

0は無く 0は在るのだ。


しかし、本当に大切なのは、0と1との間に存在する距離。

 それこそが、xそのものであり、『存在』する事の『意味』なのだ。


「・・x=1 君も同じか。」



「芦屋くん、聞いてくれ。 君に頼みたい事があるんだ。」

「・・私はもう、ここには来ない、もしかしたら、もう会えないかもしれない。」



      「・・どうしてだ、君は・・。」


「答えを見つけたんだ、もうこれ以上は意味が・・」


   彼女の声には、涙が混じっていた。
       答えを見つけた とは・・




      「君は、0じゃないぞ?」


「・・・。」

「・・君には、わからないかもしれない。」


      「わかるさ、現にここに居るだろう?」

「・・だけど、人はいつか・・。」

      「・・・。」

「全ては、そうだ。 始まりは、終わりなんだ。」


      「・・人は確かに、いつか死ぬ。」

      「でも、それに意味がないなんて事はない。」

      「少なくとも、君は俺にとって意味のある、価値のある人間だ、だから・・。」

      「命に理由はないかもしれない、だけど、『人の心』まで否定する事なんてできない。」


「・・・。」

      「生きるのが辛いって思う事は誰だってある。」

      「・・それでも人は・・。」



「・・もういい、わかった。」

     彼女の手が、僕の頬に当てられた。

「・・ありがとう。」





 そう言って、彼女はその場を跡にした。

  僕は、彼女を救う事ができたのだろうか・・・?


目の前には、二冊のノートだけが置かれていた。






  全ての物事は、相対的である。

それは、人の世界においても
 そして、物理の世界においても同じである。


数字に囚われない者

 全てを知ろうとする者

『何か』が違えば『全て』は変わる。


しかし その先に行き着く場所

 『死』 

それは答えではないのだ。


ただ、必ずそれは現実として訪れる。


ただ、それが早いか 遅いか
  相対的である。

 それだけの事だ。






人 とは、死ぬために生まれてくるのではない。

 誰か にとって、大切な人 であるために。

大切な何か を護るために、そのために生きるのだ。


そして、いつか終わりが来る

 その現実を知っていても

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-最後の証明文-





理解できないページ というのは、意外にも少なかった。

彼女の措かれた状況と、その謎
 そこに多くの共通点があったからだった。


恐らく、彼女はあの母親の事を恨んでいるのだろう。

 辛い過去があったからこそ、何故 自分を生んだのか

そしてそれは、『自分は何のために存在するのか』

その意味を知る事



それがなされない限り、彼女がこのノートから開放されることはないのだ。

・・それはつまり、彼女は答えに辿り着いた

 そういう事なのだろうか・・?





僕はページを捲った。

 夢中で読み進めたせいか、それが最後のページになっていた。



最後のページには、何か についての証明が記されていた。




それが 何 についての証明なのかはわからなかったが、恐らく、これが彼女の求めていた答えなのだろう。





ノートを閉じ、ふと裏表紙に目をやった。

 『0の意味とは?』



ただ一言、そう書かれていた。



僕は慌てて、そのノートの最初のページを見直した。












     「全てが0に還るのなら、その『存在』に、『意味』はあるのだろうか・・・?」


一度だけ そう口にして、僕はそっとノートを閉じた。 人気サイトランキングへ
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-回帰する闇-







彼女の家に行くと、家の前に 見覚えのある女性がいた。


・・どこで会ったのか、少し暗いせいもあり、すぐには判らなかった。


          「・・あれ、この間の・・。」

     「・・どうも。」


 彼女の母親だった、帰り際に少し見た程度だったが、この声に間違いはなかった。


     「・・真理さんは?」

          「・・それが、今朝から居ないんです、今、警察の人にも来てもらって・・。」


 携帯にも繋がらず、書置きも無かったそうだ。

・・あの様子では、書置きを残すような事をしないのも当たり前だと思うが・・。


     「・・部屋、上がらせてもらっても大丈夫ですか?」


          「・・はい、真理も、あなたが入るのは嫌がらないでしょうし・・。」



 複雑な感情
  『こう』なってしまったのにも、あの母親なりの理由があったのだろうが、やはり理解できなかった。


      部屋に入ったのは、彼女が何か手がかりを残しているかもしれないと、そう思ったからだった。



戸を開くと、以前部屋に入った時よりも、部屋が広くなっているように感じた。

  見れば、書類や本等が 部屋の脇に整理されていた。


彼女の机の上を見た時、僕は この上ない不安感と、違和感を覚えた。


 彼女が肌身離さず持っていた大学ノート。

彼女の細かな文字と、そして、彩やかな知識

 それらの結晶が、そこにあった。





何故 これまで、あれ程大切に持っていたノートを、こんな無防備な場所に置いたまま 彼女は姿を消したのか。

 計り知れない不安を抱えながら、僕はそのノートを開いた。

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-0の質量-



「知らない という事は、どこに謎があるのか を知る手がかりになる。」

 彼女はこうも言った。


「過去の固定概念の囚われていては、新しい物が見えなくなる。 必要なのは新鮮な観点だ。」


 夏休みに入る前、僕は彼女に宿題を出されていた。




 『0とは何か。』


0 とは、存在しない という事だ。

しかし 存在しなければ困る、0でなければならない物もあるのだ。

 無 である事の証明 それこそが0なのだ。


図書館で読んだ本にはこうあった。

 『宇宙は無から始まった。』


無 とは 0 である。

 しかし、現に今存在している「ここ」は、0ではないのだ。

それらは、保存法則の領域であり、0 ではないはずなのだ。


 では、どこからこの膨大な質量が生まれたのか。
  相対性理論 つまり、創造主の世界とは相対的であるのか。

つまり その問題に 0 という定義は存在しない。

0 とはどこから導き出せばいいのか。




0 なんて物はないのかもしれない。



しかし 人は死すれば・・









 ふと、恐ろしい考えが浮かんだ。

夏休みも終わりの頃、僕はその「宿題」を持ち、彼女の家に向かった。


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-理由-







彼女の家へ行く途中、彼女はノートのあるページを開いた。





     「・・宇宙は、何故創られたのか・・?」



「平均80年しか生きられない人間の私が考え付くんだ、もし仮に、もっと以前の文明種がこれを考えていたとすれば、我々はその文明種の創った宇宙の中にいるかもしれないだろう?」


     「・・でもそれは、証明しようもないし・・」

「うん、堂々巡りだ、だけど 理由は違う。」

     「それに、この規模の宇宙を作るなら、同じだけのエネルギーが必要だろう。」

「相対性理論だ、知っているね。」

「人間を基準にして考えてはいけない、この宇宙は、彼らの持つ試験管の中で転がされているだけかもしれないんだ。」

  そうなれば、時間だって均等には流れない、僕らの100年が、彼らの持つ一瞬の出来事なのかもしれない。


「創った理由、それにも 共通性がある、私はそう思う。」








 そう言って彼女は、ノートを閉じる。













「君は頭の出来が違うと思うだろうが、それは違う。 ただ、環境の差だ。」



  ふいに彼女が立ち止まった、どうやら家に着いたらしい。




「挨拶とかいいから、上がってくれ。」

 リビングらしき部屋には明かりが灯っていたが、すぐに二階に通された。

彼女は 部屋に入るとすぐに、自室の鍵を閉めた。








     「・・誰かいたようだけど、よかったのか?」

 そう聞くと、間もなく誰かが部屋の戸を叩いた。

         「真理、帰ったなら少しくらい顔見せなさい。・・それに、今日はどなたか来られてるんでしょう?」


 返答しようと思った僕の口を、彼女の言葉が遮った。


「今更母親面するなよ、何のつもりか知らないが、私の邪魔はしないでくれ。」


         「・・。」

 少しの間は気配があったが、やがて諦めたのか 気配は離れていった。


「・・すまないね、あまり見せたくなかった。」


     「・・いや。」


 部屋を見渡すと、父親と彼女の写った写真だけが机に置かれていた。



「・・父さんは、いないんだ、数年前に亡くなってね。」


「今年転校してきたのは、遠くで親戚と暮らしていた私を、急にあの人が引き取るって、そう言ってきたかららしいんだ。」

「父さんは、死ぬまで私を一生懸命育ててくれた。 あの母親が勝手に不倫して、家を出て行った後もずっと。」

「今更になって、『私の娘だから引き取る』だなんて、よく言えたもんだ。 葬式にも来ないくせにさ。」



 彼女が 自ら孤独を選ぶような生き方をするのは、失うのが怖いからなのだろうか
   信じるのが 怖いからなのだろうか。


自分には 想像もできない。

 環境の差だ と、彼女は言った。



見えない場所 心のずっと奥底に、彼女しか知らない 深い傷があるのだ。










「母は私を捨てた、父はずっとそう言っていた。」


「父が死んで間もなく、思うようになった。」

「自分は何故、産まれてきたのか と。」




  自分の存在意義

彼女は恐らく、怖くなったのだ。

 知らない という事

そして
  意味がない という事



探究心が彼女を動かしたのではなく、無知 という恐怖が彼女を誘ったのだ。




「私はただ、知りたいだけなんだ・・。」

 彼女が必死に作っている笑顔が、心を痛めた。





その『理由』が、どれ程彼女を苦しめたのだろう。


      「理由・・か。」


 全ては『共通』している。




『人』も、『世界』も、『心』も、全て・・。






      「俺も、大してできる事なんてないけど、手伝うよ。」

「・・ありがとう、やはり 神様は意地悪だ・・。」





 積み重なる方程式
    不安定な未知数

僕は、彼女の描く最終定理の
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-探求-










考えてみれば、おかしい事だらけだ。


 何故、高校3年の今の時期に転校してきて
  そして、担任、学年の教師や生徒が それに触れないのか。


授業中、休み時間さえも、片時もそのノートを手放さない。

それ程までに その事について考えなければならないのか。







そして


 別れ際の悲しげな顔
 

  初対面の相手に、そんな顔はしないものだ。
 つまり、「帰る」という事自体が、「悲しい」のではないか。



・・屋上の扉を開くと、昨日より少し涼しい風が吹いていた。




「やぁ、芦屋くん。」


     「・・・また、お邪魔してもいいかな。」


「ふふ、君のように頭の良い人間なら、居ても何ら邪魔にならんさ。」


 こちらを見ないので、表情こそ見えないが 心なしか喜んでいるようだった。


もうあんな顔は見たくないと、そう思った。










      「・・そういえば君は、卒業したらどうするんだ?」

「・・実の所、あまり考えていない、今はこいつで手一杯でな・・。」


      「・・そうか、それに関しては、協力してやれそうにないな。」

「あはは。」


 彼女は急に手を止め、こちらに向き直った。

  顔には、精一杯の笑みを浮かべて。


彼女が初めて 笑顔を見せた瞬間だった。





「やっぱり君は、思った通りの男だよ。」

     「・・なんだよ、それ。」

「よく頭が回るし、何より優しい。 君、私が集中している時は話さないだろう。」

     「・・俺が、そういうのされるの嫌いだからな。」

     「それに、頭は君の方がいいはずだろう?」


「学校の試験や、目の前にある知識だけで 人の頭は測れないよ。」



     「保存法則 だ。」


     「元々ない物は、そこには生まれない、そのノートも、君の知識がなければ生まれないはずだ。」


「ほら、応用も利くじゃないか、つまり、そういう事だけどね。」

「でもこれは 失敗したんだ、つまり その程度の事しか書かれていないって事。」


     「・・それでも尚、それに拘る理由は何だ?」


「・・そうだな、君は、今 それを知りたいだろう?」

     「・・あぁ、そうだ。」

「私も同じだ、知りたかったから、それだけだ。」



 茜色の光が、大学ノートのまだ白いページを照らす。



「知りたいなら、・・家に来ればいい、でも、知らなくていい事も、世の中にはある。」


     「君と同じだ、それでも尚 知りたい。」


「わかった、家に招待しよう。」



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-質量保存の法則-










「やぁ。」


  ふいに声が聞こえた。




「出席番号2番、芦屋・・祐希君だったかな。」

     「覚えてくれているなんて嬉しいね、邪魔したかな? ・・えーと...」

「明石 真理、別に、私の場所というわけじゃないさ。」


 それもそうか と、僕は彼女の方に歩き出す。





     「明石さんは、去年は何組だったの?」

「ん、私は今年転校してきたばかりだから、見覚えはないだろうな。」

 そう言って、初めて彼女はこちらを向いた。
  まるで 全ての考えを見透かされているようだった。




恐らく クラスで誰とも話さない というのは、自分がよそ者だという意識があるかだろう。








 彼女は 貯水槽の脇で寝そべり、大学ノートを広げていた。
  風でめくられたページを見て、ゾッとした。
そのノートのほとんどのページに、細かな字が ギッシリと綴られていた。




     「・・何を書いてるんだ?」

「別になんてことない、ただの趣味だよ。」










 とてもただの趣味には見えなかった。
こんな人目に付かないような所で、一人で書く程の物なのか。

 そう考えると、ますます興味が沸いた。

     「ちょっと、見せてくれないか。」

そう言うと彼女は、適当なページを開き 僕に渡した。


     「質量保存の法則・・を元にしてあるのか。」

 辛うじてそこだけが理解できた、しかし、それを元にして何を立証しようとしているのか、全く理解できなかった。










本当の事を言うと、僕には少しばかりのオゴリがあったのかもしれない。
 事実 前年度までの成績はよかった。
周囲より多くの事を知っているつもりだった。

しかし 彼女のノートを見た途端、その考えは消えた。

ただデタラメな数式を書いているわけではない、そのくらいの事は理解できたからだ。


「見る程の物でもないだろう、それに、そのページを見て 保存法則を導き出せたのは感心だ。」

     「・・いや、だめだよ、他はサッパリだ。」

「例えば、君はさっき、質量保存の法則 と言ったが、もう一つ習ったろう。」

     「・・あぁ、エネルギーか。」

「つまり、同じ法則性があるという事は、それらは同じ物なわけだ。」

「水と氷が同じであるように、ただ、見える形態が違うだけ それは全てに当てはまる。」


 確かに、どんなに物質の形や、名前が変わったとしても、構成する物は同じだ。

「これを基にして、宇宙の質量を求めるつもりだった、失敗したわけだがね。」

     「・・へぇ。」













 僕は空を見上げ、そして、宇宙に想いを馳せた。

少し赤みがかった光が、雲を照らしていた。


もうすぐ、夕暮れだ・・。










     「・・そろそろ、帰った方がいい。 うちは、下校時刻を過ぎると電気が消えるんだ。」

「それは大変だ、また、明日。」








 手を振って別れた  彼女の表情が妙に悲しげで
家に帰り、布団に入っても それが気になって眠れなかった。




   ・・宇宙の質量。

彼女は確かにそう言った。

 普通の高校生が、そんな物を知りたいと思うのだろうか?

そして それは

 あの時見せた表情と、何か関係がある気がして








そこに 理由がある気がして




 翌日、僕はまた 屋上へと続く階段を上った。




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-始まりの方程式-









彼女と出会ったのは、高校3年の春。






始業式の日、出席番号順に並べられた座席
 一つ前の席に座っていたのが、彼女だった。




初めて見る顔のような気がした。

 過去2年、彼女と同じクラスになっていないからだろうか。


















自由時間になっても、誰とも話す様子がなかった。

少し気になったが、そっとしておく事にした。







3年になって 教室は校舎の最上階に変わった。
 入学してからは一度も屋上に出ていない事を思い出し、その日の放課後 屋上に出た。


ここに来るのは 中学の時の学校見学会以来だ。

少し暖かい 4月の風が頬に当たる。














ふと 貯水槽の脇を見ると、人影があった。











どこかで見覚えのある後姿
 そう、先程まで僕の前に座っていた彼女が そこにいた。





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0/Prologue













人が どれほど 夢を 見ようとも
        世界は 廻り続ける。



毎朝 決まった 時間に 起き
 そして 眠りに就く。



変わり映えの無い 日々を送る間に
 歳をとり 死んで行くのだ。












「自分」という「存在」の「意味」も知らないまま・・。










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メイプルストーリーで初心者を含む15職の全職サクチケ無し120Lvを達成したのも昔の話。
大阪府で運送屋さんしてました。
2012.04.25
大型第二種免許取得。

2013.04.03
運行管理者試験合格。

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