HellGhost-5-
HollorEdenLabyrinthLine
GetHeartsOfSackTaboo..
HELL-GHOST【・・地獄の使者】
どこにどの霊がいるかは、それぞれの場所と霊によって 理由が異なります。
その理由というのは実に単純で、生きている間に果たせなかった想いの強い場所に魂が残るとされています。
しかし、僕が霊を見るようになってすぐに死を迎えた後、現世に留まっている理由は 自分ではよくわからないのです・・
Story5.使者になった死者
地獄への扉を潜った人間は、現世への想いが強く、魂だけが現世に取り残されている間 現世に戻る事ができます。
霊感などない妹にどうして僕の姿が見えるのか等、全くわからないまま 数ヶ月が過ぎました。
僕がこのサークルを立ち上げてからという物、退屈する事はなくなりましたが、日に日に不安が募るばかりでした。
以前「振り返るな橋」で亡くなった友人も、この世への未練があったせいか このサークルでもう一度会う事ができました。
しかし、それぞれ 自分がどうしてここにいるのかがわからないまま 時間が過ぎて行くのです・・。
長く現世にいる使者は、その時間の長さ故 その理由を考える事をも辞めてしまい、人間を扉へ引きずりこむのだそうです・・
ある日、妹と買い物に行った時の事です。
突然 一台の車が歩道に突っ込んできました・・
「唯っ・・」
とっさに手を引きます・・、しかしその時気付いてしまったのです・・
「・・そっか。」
「唯も・・死んじゃったんだね・・。」
時に霊体は 人に紛れてこの世に潜んでいるのです・・
自分が現世に留まった理由を、捜し歩いているのです・・
当サークルでは現在、メンバーを募集中です。
扉の向こう側の世界を見た後、死因と戒名を持っておいでください。
最後までお話を聞いていただいてありがとうございました、現世の人に僕がお話できるのはここまでです。
もっと詳しく聞きたい方は、また お亡くなりになってからおいでくださいね。
ゆっくりお話ができて満足です、
・・最近、僕が現世に留まる理由がわかった気がします。
話の途中で帰られてしまうと、・・また、殺してしまう所でしたからね・・。
-HELLGHOST- 人気サイトランキングへ
↑クリックお願いします_(._.)_
さくらいろオンライン
HellGhost-4-
HollorEdenLabyrinthLine
GetHeartsOfSackTaboo..
HELL-GHOST【…地獄の使者。】
僕にはそれが見えます、皆さんにも、いつかそれが見える時が来るかもしれません。
Story4.存在しなかった扉
僕がその扉を初めて見たのは、あの黒猫と出会って、半年が経った頃…。
家族で海に来ていた日の事、突然 何かに足を引っ張られているような感覚に陥りました。
抵抗しようにも、為す術なく、僕はその何かに海の中へ引きずり込まれてしまいました。
海の中、薄れ行く意識の中で最後に見えた物は 黒く、大きな扉でした…。
数日後、僕は、近くの島に流れ着いていた所を救出されました。
「うぅ…、お兄ちゃん…。」
「ほら、大丈夫なんだから泣くなよ。」
…僕には扉が見えます。
死がある場所に、霊がいる場所に その扉はあります…。
人が死ぬ時 人は扉を潜ります…
…その後の事は、ご自分でお確かめなさい。
僕はその時まで、扉の向こうで待っているとします…。
それでは、またの機会に…。
-HELLGHOST-
人気サイトランキングへ
↑クリックお願いします_(._.)_
さくらいろオンライン
HellGhost-3-
HollorEdenLabyrinthLine
GetHeartsOfSackTaboo..
HELL-GHOST【…地獄の使者。】
もうすぐ朝日が昇る頃ですね
鶏の刻の声が聞こえ始めました…。
公園に住み着いた黒猫は、人に対する警戒心が強く、なかなか目にする事ができません。
古くから猫やその他の動物は、見えない物を見る力があると伝えられています。
無造作に宙を見つめる視線は、もしかしたら霊を見ているのかもしれません…。
…おや、珍しく猫の方から出てきました。
不吉を呼ぶと言われ避けられ続けた黒猫は、人に何を求めるのでしょう…
Story3.不幸になった黒猫
僕はその黒猫の後に付いて、ある家の前に辿り着きました。
その猫は、そこでじっと僕の方を見つめた後 何かを追うように視線を家の窓の方へ移しました。
窓に触れると 鍵が開いていたらしく、そっと窓が開きました。
僕は黒猫に促されるように中へ入り、辺りを見渡しました。
「…家具も何もない…、人の気配も感じられないな…。」
奥へ進むと、何か後ろから見られているような気がしてきました。
…どうやら、ここにもいるようです。
ある程度見て周り、家から出ようとした時 突然黒猫が僕の少し横を見て立ち止まりました。
何かの気配を感じた僕は、すぐに家を出る事にしましたが、黒猫はなかなか家から出てきません。
不思議に思いながらも、その日は一度帰る事にしました。
次の日 同じ公園を訪れると、また黒猫を見つけました。
しかし 何か様子が変です。
たくさんの人がいる中を、僕に向かって一直線に歩いて来るのです…。
黒猫が近付くにつれて、僕にはわかりました。
全身に付いた血液が、その体を汚している事に…。
ようやく僕の目の前に来た時、黒猫はまた 僕の少し横を見つめ、今度は一度だけ鳴いて 来た道を戻って行きました。
思えば、僕が霊などについて詳しくなったのは、この黒猫に会ってからかもしれません。
なぜなら、この日まで僕は霊を見る事ができなかったのですから…。
黒猫の見つめていた方を振り返り もう一度黒猫の方を見返すと、そこにもう黒猫はいま
せんでした。
彼が歩いた足跡を見つめると 公園の真ん中辺りで、足跡は消えていました。
僕の代わりに不幸を背負ったのかどうかはわかりませんが、少なくとも不幸を呼ぶ猫では
なかったようです…。
霊はどこにでもいるのです。
人間はそれに気付かないだけ…。
ほら、あなたの後ろにも…。
-HellGhost-
人気サイトランキングへ
↑クリックお願いします_(._.)_
さくらいろオンライン
HellGhost-2-
HollorEdenLabyrinthLine
GetHeartsOfSackTaboo..
HELL-GHOST【…地獄の使者。】
辺りを夕闇が包み始めました。
…そうですね、ではこんな話はどうでしょう…?
Story2.振り返るな橋
全国各地に、渡る間振り返ると不幸になる 振り返るな橋 という物がありますが、今日
はその橋が舞台になったお話…。
体験したのは我がサークルに入って2年になる彼、篠田昂。
夕闇がさしてきた頃、彼はその橋を渡ろうとしていた…。
橋の中ほどに差し掛かった時 彼は背後に不穏な気配を感じた。
噂を知っていた彼は、振り返る事なく橋を渡りきろうとした。
彼がちょうど橋を渡りきった時、すれ違うようにして一人の女性が橋に向かって歩いて
行った。
渡りきった事で安心していた彼は、夕闇でよく見えなかったすれ違いの存在を確かめよう
と、思わず後ろを振り返ってしまった…。
彼が振り返ると、そこに女性の姿はなく、不思議に思いながらも帰ろうとしたその時 彼
の目の前に女性が立っていた。
彼はすぐに走って逃げ出す…。
以後彼がその橋に近付く事はなくなった…。
数日後 その橋の下の川の底から、女性の遺体が見つかった。
彼が見たという その女性だった…。
夕刻は、歩いている人の顔を判断する事が難しい事はら 昔の人々はかはたれ【彼は誰】
時 なんて言い方をしたそうです。
過去を振り返る事も大切ですが、あまり未練がましく思ってもいけない というメッセー
ジが込められての 振り返るな橋 なのかもしれませんね。
後日彼と僕は その橋にもう一度行く事にしました…。
僕が橋に歩を進める中、彼はあまり乗り気ではないようです。
「祐、こういうのやめようぜ…?」
「何を怖がっているんだ、君だってこのままもやもやしたままは嫌だろう?」
どうやら彼は、自分のせいで人が死んだと思ったらしく その日から何やら元気がなかっ
た。
橋の中ほどまで来ると、確かに後ろから気配がする。
振り返らずに済むように、僕ら二人は並んで歩いている…。
ふいに彼の様子が変わった。
視線の先には、橋に置かれた遺影があった。
「…?どうした、ただの遺影じゃないか。」
「なら教えてくれ、どうして遺影のすぐ側に、俺の…」
彼の言う通りだった、遺影に供えられている物に紛れて 彼の写真が落ちていた…。
彼が写真を拾おうとした時 写真が風で飛ばされる…。
「あっ…」
彼は思わず写真を追って、後ろを見てしまった…。
彼の表情が 凍り付いて行く…。
『…未練は、あるか…?』
低い声が聞こえた。
「あ…」
「いいか、答えてはいけない。全力で逃げろ。」
「な…あ、あぁ。」
振り返らず 彼はその橋を走り抜けた。
「…後ろにいるのは誰かな?」
「僕に手を出さない事だ。地獄の使者よ…。」
『……!すると、貴様もか…。』
-HELLGHOST-
「…写真は、返してもらおう。」
-彼らはどこにでも潜んでいる…-
「次のお話は、また今度にしよう…。」
「その時まで生きていている事だ、死はどこにでも存在する…。」
-HELLGHOST-
人気サイトランキングへ
↑クリックお願いします_(._.)_
さくらいろオンライン
GetHeartsOfSackTaboo..
HELL-GHOST【…地獄の使者。】
辺りを夕闇が包み始めました。
…そうですね、ではこんな話はどうでしょう…?
Story2.振り返るな橋
全国各地に、渡る間振り返ると不幸になる 振り返るな橋 という物がありますが、今日
はその橋が舞台になったお話…。
体験したのは我がサークルに入って2年になる彼、篠田昂。
夕闇がさしてきた頃、彼はその橋を渡ろうとしていた…。
橋の中ほどに差し掛かった時 彼は背後に不穏な気配を感じた。
噂を知っていた彼は、振り返る事なく橋を渡りきろうとした。
彼がちょうど橋を渡りきった時、すれ違うようにして一人の女性が橋に向かって歩いて
行った。
渡りきった事で安心していた彼は、夕闇でよく見えなかったすれ違いの存在を確かめよう
と、思わず後ろを振り返ってしまった…。
彼が振り返ると、そこに女性の姿はなく、不思議に思いながらも帰ろうとしたその時 彼
の目の前に女性が立っていた。
彼はすぐに走って逃げ出す…。
以後彼がその橋に近付く事はなくなった…。
数日後 その橋の下の川の底から、女性の遺体が見つかった。
彼が見たという その女性だった…。
夕刻は、歩いている人の顔を判断する事が難しい事はら 昔の人々はかはたれ【彼は誰】
時 なんて言い方をしたそうです。
過去を振り返る事も大切ですが、あまり未練がましく思ってもいけない というメッセー
ジが込められての 振り返るな橋 なのかもしれませんね。
後日彼と僕は その橋にもう一度行く事にしました…。
僕が橋に歩を進める中、彼はあまり乗り気ではないようです。
「祐、こういうのやめようぜ…?」
「何を怖がっているんだ、君だってこのままもやもやしたままは嫌だろう?」
どうやら彼は、自分のせいで人が死んだと思ったらしく その日から何やら元気がなかっ
た。
橋の中ほどまで来ると、確かに後ろから気配がする。
振り返らずに済むように、僕ら二人は並んで歩いている…。
ふいに彼の様子が変わった。
視線の先には、橋に置かれた遺影があった。
「…?どうした、ただの遺影じゃないか。」
「なら教えてくれ、どうして遺影のすぐ側に、俺の…」
彼の言う通りだった、遺影に供えられている物に紛れて 彼の写真が落ちていた…。
彼が写真を拾おうとした時 写真が風で飛ばされる…。
「あっ…」
彼は思わず写真を追って、後ろを見てしまった…。
彼の表情が 凍り付いて行く…。
『…未練は、あるか…?』
低い声が聞こえた。
「あ…」
「いいか、答えてはいけない。全力で逃げろ。」
「な…あ、あぁ。」
振り返らず 彼はその橋を走り抜けた。
「…後ろにいるのは誰かな?」
「僕に手を出さない事だ。地獄の使者よ…。」
『……!すると、貴様もか…。』
-HELLGHOST-
「…写真は、返してもらおう。」
-彼らはどこにでも潜んでいる…-
「次のお話は、また今度にしよう…。」
「その時まで生きていている事だ、死はどこにでも存在する…。」
-HELLGHOST-
人気サイトランキングへ
↑クリックお願いします_(._.)_
さくらいろオンライン
HellGhost-1-
Hollor
Eden
Labyrinth
Line
Get
Hearts
Of
Sack
Taboo
【…恐怖の楽園、迷宮の道…。心を手に入れろ、タブーを開け…!】
HELL-GHOST【…地獄の使者。】
…世の中に渦巻く怪談や都市伝説…、この世界には、常識では考えられないような事が起
き続けている…。
…ここは知る人ぞ知る怪談好きサークル、HELL-GHOST
どこにでもあるような集まりだが、ここには他のサークルにはないお話がある…。
まず最初のお話を聞かせてあげよう、僕はサークル管理人の月島祐、その日 僕は偶然妹の唯と、京都を訪れていた…。
「ゆー!浴衣…どうかな?」
「あぁ、なかなか新鮮でいいんじゃないかな。」
妹とは一つ学年が違うだけ、彼女は何の変哲もない一般人である。
この日京都のある場所を訪れた僕らに、不思議な出来事が降り掛かる。
まず最初に白状しておくなら、僕は最後まで その存在に気付いていなかった。
Story1.浴衣の少女
妹が急に京都行きを決めたおかげで、僕が付き添いで京都に来る事になったわけだが…
「ねぇねぇ、ゆー 次はあっちのお店見てみよーよ!」
「はいはい…、ほら、走ったら危ないぞ?」
この日の京都は35度を超える猛暑日、外を歩く人は少なく、それでも尚 雲一つない青空
からは暑い夏の日差しが照りつける…。
思えばその存在は、この時既に、僕らのすぐ近くまで迫っていたのかもしれない…、
暑さのせいか、妹は突然道に倒れこんでしまった…。
「唯、ちょ…」
すぐ近くにあった旅館に運び、水を飲ませる。
妹の意識は途絶えたままだ…。
少しすると 奥から浴衣の女性が現れた。
身の丈は妹と同じくらいだが、着ている浴衣の色のせいか 妹より大人びて見える…。
「…お泊りですか?」
「あ…あの、いえ…」
「ちょっとこいつが…暑さで倒れてしまって…。」
「あれま、ほな少し、奥にお上がりくださいな。」
「…どうも。」
昔からの伝統を引き継いでいる 古い古い建物だが、敷いている畳はまだ若々しく、美し
い旅館であると感心せざるを得なかった。
「大丈夫かなぁ、この子…。」
「…病院とか連れて行った方がいいんでしょうか?」
「せやなぁ…、呼んできてもらおか。」
そう言って彼女は部屋を出て行く。
…しかし、僕が付いていながら、情けない事だ…。
妹の異変にも気付かないなん…て…?
その時 妹の目が見開かれた。
「ゆ、唯、大丈夫?」
「教えて…」
「…?」
「私…死んだの…?」
「な、何言ってんだよ唯。生きてるからこうして…」
「ゆぃ…じゃないよ…」
「私は…美奈…、ここで働いて…」
「美奈…?」
地縛霊が人間に憑依する という話は聞いた事があったが、まさか…
僕は急いで旅館の管理部屋を探した。
もしかしたら さっきの女性は…。
管理部屋には誰もいなかった。
すぐに部屋に戻ると 布団に横になる妹と、その横に女性の姿があった。
「ぁ…どうも…」
「お医者さん呼んどきましたえ。ごゆっくり…。」
「あの…、ちょっと伺いたい事が…。」
この女性の話では、先代の若女将が病に苦しんだ末に亡くなったらしく、その後を継いで
若女将になったのが彼女なのだそうだ。
医者が妹を診ている間にも 次第に謎が晴れて行ったが、妹は目覚めようとしなかった。
眠っているようだ…。
その日の夜 また彼女と出会った…。
「ねぇ、私、死んだの…?」
「…そうだよ、美奈さん。」
「…そっか。」
苦しんで苦しんで その苦しみから逃れようと命を断った美奈さんは、自分の死を知るこ
とで ようやく安らかな眠りに付く事ができた…。
次の日の朝、妹は何事もなかったかのように元気を取り戻した。
「おはようございます、ゆっくり休まれたようですね。」
「…あれ、女将さんはどうされたんですか?」
「…うちは去年女将が他界してから、女将はおろか、女中も雇っとらんよ。」
「そうでしたか、じゃ、そろそろ出ようか、唯。」
「うん!」
…後日、僕一人でこの旅館を訪れた。
「どうも…」
「おや、あんたはあの時の…」
「少しお伺いしたい事が…」
彼の話によると、この旅館に働きにきた女性が次々亡くなり、以来女性を雇わなくなった
のだそうだ。
…大量の地縛霊が住まう場所 そこに偶然迷い込んでしまったのだろうか…?
「お医者様をお呼びくださったのはあなたで?」
「おや、あんたが呼んだんじゃなかったのかい。…おっかしいなー。」
以前女将をしていた女性が亡くなった日…
雲一つない青空の下、浴衣姿の女将の亡骸が旅館で見つかった。
彼女は今も尚、幼少の頃から住んでいた旅館の中に現れては 当時の事を名残り惜しんで
いるそうだ…。
妹に取り憑いたのは、僕に何かを伝えたかったからなのかもしれない。
それとも、かつての自分の面影を 浴衣姿の妹に写していたのかもしれない…。
旅館の裏手にある彼女たちの墓に、僕はそっと手を合わせた…。
…お盆休み。
極楽浄土に向かった魂達が、年に一度 現世に回帰する時期…。
京都の夏の送り火で、少しでも多くの魂が救われたのでしょうか?
美しい夕焼けが見えます、もうすぐこの辺りも闇に染まるのですね。
…ところで、当サークルの 他にはない話 の意味、ご理解いただけたでしょうか…?
そう、このサークルには 実話しか存在しない…。
-HELLGHOST-
さて、それでは次のお話を…。
人気サイトランキングへ
↑クリックお願いします_(._.)_
さくらいろオンライン
Eden
Labyrinth
Line
Get
Hearts
Of
Sack
Taboo
【…恐怖の楽園、迷宮の道…。心を手に入れろ、タブーを開け…!】
HELL-GHOST【…地獄の使者。】
…世の中に渦巻く怪談や都市伝説…、この世界には、常識では考えられないような事が起
き続けている…。
…ここは知る人ぞ知る怪談好きサークル、HELL-GHOST
どこにでもあるような集まりだが、ここには他のサークルにはないお話がある…。
まず最初のお話を聞かせてあげよう、僕はサークル管理人の月島祐、その日 僕は偶然妹の唯と、京都を訪れていた…。
「ゆー!浴衣…どうかな?」
「あぁ、なかなか新鮮でいいんじゃないかな。」
妹とは一つ学年が違うだけ、彼女は何の変哲もない一般人である。
この日京都のある場所を訪れた僕らに、不思議な出来事が降り掛かる。
まず最初に白状しておくなら、僕は最後まで その存在に気付いていなかった。
Story1.浴衣の少女
妹が急に京都行きを決めたおかげで、僕が付き添いで京都に来る事になったわけだが…
「ねぇねぇ、ゆー 次はあっちのお店見てみよーよ!」
「はいはい…、ほら、走ったら危ないぞ?」
この日の京都は35度を超える猛暑日、外を歩く人は少なく、それでも尚 雲一つない青空
からは暑い夏の日差しが照りつける…。
思えばその存在は、この時既に、僕らのすぐ近くまで迫っていたのかもしれない…、
暑さのせいか、妹は突然道に倒れこんでしまった…。
「唯、ちょ…」
すぐ近くにあった旅館に運び、水を飲ませる。
妹の意識は途絶えたままだ…。
少しすると 奥から浴衣の女性が現れた。
身の丈は妹と同じくらいだが、着ている浴衣の色のせいか 妹より大人びて見える…。
「…お泊りですか?」
「あ…あの、いえ…」
「ちょっとこいつが…暑さで倒れてしまって…。」
「あれま、ほな少し、奥にお上がりくださいな。」
「…どうも。」
昔からの伝統を引き継いでいる 古い古い建物だが、敷いている畳はまだ若々しく、美し
い旅館であると感心せざるを得なかった。
「大丈夫かなぁ、この子…。」
「…病院とか連れて行った方がいいんでしょうか?」
「せやなぁ…、呼んできてもらおか。」
そう言って彼女は部屋を出て行く。
…しかし、僕が付いていながら、情けない事だ…。
妹の異変にも気付かないなん…て…?
その時 妹の目が見開かれた。
「ゆ、唯、大丈夫?」
「教えて…」
「…?」
「私…死んだの…?」
「な、何言ってんだよ唯。生きてるからこうして…」
「ゆぃ…じゃないよ…」
「私は…美奈…、ここで働いて…」
「美奈…?」
地縛霊が人間に憑依する という話は聞いた事があったが、まさか…
僕は急いで旅館の管理部屋を探した。
もしかしたら さっきの女性は…。
管理部屋には誰もいなかった。
すぐに部屋に戻ると 布団に横になる妹と、その横に女性の姿があった。
「ぁ…どうも…」
「お医者さん呼んどきましたえ。ごゆっくり…。」
「あの…、ちょっと伺いたい事が…。」
この女性の話では、先代の若女将が病に苦しんだ末に亡くなったらしく、その後を継いで
若女将になったのが彼女なのだそうだ。
医者が妹を診ている間にも 次第に謎が晴れて行ったが、妹は目覚めようとしなかった。
眠っているようだ…。
その日の夜 また彼女と出会った…。
「ねぇ、私、死んだの…?」
「…そうだよ、美奈さん。」
「…そっか。」
苦しんで苦しんで その苦しみから逃れようと命を断った美奈さんは、自分の死を知るこ
とで ようやく安らかな眠りに付く事ができた…。
次の日の朝、妹は何事もなかったかのように元気を取り戻した。
「おはようございます、ゆっくり休まれたようですね。」
「…あれ、女将さんはどうされたんですか?」
「…うちは去年女将が他界してから、女将はおろか、女中も雇っとらんよ。」
「そうでしたか、じゃ、そろそろ出ようか、唯。」
「うん!」
…後日、僕一人でこの旅館を訪れた。
「どうも…」
「おや、あんたはあの時の…」
「少しお伺いしたい事が…」
彼の話によると、この旅館に働きにきた女性が次々亡くなり、以来女性を雇わなくなった
のだそうだ。
…大量の地縛霊が住まう場所 そこに偶然迷い込んでしまったのだろうか…?
「お医者様をお呼びくださったのはあなたで?」
「おや、あんたが呼んだんじゃなかったのかい。…おっかしいなー。」
以前女将をしていた女性が亡くなった日…
雲一つない青空の下、浴衣姿の女将の亡骸が旅館で見つかった。
彼女は今も尚、幼少の頃から住んでいた旅館の中に現れては 当時の事を名残り惜しんで
いるそうだ…。
妹に取り憑いたのは、僕に何かを伝えたかったからなのかもしれない。
それとも、かつての自分の面影を 浴衣姿の妹に写していたのかもしれない…。
旅館の裏手にある彼女たちの墓に、僕はそっと手を合わせた…。
…お盆休み。
極楽浄土に向かった魂達が、年に一度 現世に回帰する時期…。
京都の夏の送り火で、少しでも多くの魂が救われたのでしょうか?
美しい夕焼けが見えます、もうすぐこの辺りも闇に染まるのですね。
…ところで、当サークルの 他にはない話 の意味、ご理解いただけたでしょうか…?
そう、このサークルには 実話しか存在しない…。
-HELLGHOST-
さて、それでは次のお話を…。
人気サイトランキングへ
↑クリックお願いします_(._.)_
さくらいろオンライン




